EUのさきがけ・ポロネーズ――管弦楽組曲(1)
今回は「組曲」だ。英語でいうと「スィート」ですね。
ドイツ語も同じスペリング。
ところで、ある程度以上のホテルには必ず「スィート・ルーム」が
ありますね。あれをアツアツ恋人たちや新婚カップルなどが泊まるもの、
と決めこんで、それゆえアマ~イからスイート、と思っている人が
ありますが、あれはそうじゃなくて、「続き部屋」のことなのですぞ。
その、続き部屋とか組み物の家具などと同じことばとして、「組曲」を
「スイート」というのであーる。
さて、その組曲にもいろいろある。
たいていのクラシック音楽ファンが思いつくのは、メンデルスゾーンの
組曲《真夏の夜の夢》、チャイコフスキーのバレエ組曲《白鳥の湖》、
ビゼー《アルルの女》に《カルメン》組曲、グリーグ《ペール・ギュント》、
ストラヴィンスキーは《プルチネルラ》組曲、ややマニアックに
R・シュトラウスの《ばらの騎士》組曲……。
まだまだあるから、ハイここまで。
これらの組曲は、ほとんどがモトがバレエ、オペラ、あるいは演劇のため
の音楽で、のちにそのモトから抽出して組曲とした、というもの。
まれにはじめから組曲として書かれた、というものもあるが、少ない。
で、実にページの無駄遣いなのであるが(と言いつつページをかせぐのだ)、
今回の話は今あげた組曲とまったく関係がない。
バッハの話である以上、とりあげるのは、バロック時代の器楽曲様式
としての組曲なのだ!
どういう様式か。
いくつかの楽章から成る。多楽章形式のはしリだ。
そしてそのいくつかの楽章は、同じ調で書かれる。
さらに、そのいくつかの楽章は、たいてい、舞曲なのである。
舞曲?
つまりダンス?
じゃあ、タンコ? そう? ピアソラ、あなたも好き?
――おっと、話が逸れてしまった。
でなきゃあ、ワルツ?――今年(1999年)はヨハン・シュトラウスの
没後100年なんだよね。おっと、また話が逸れてしまった。
いやいや。タンゴもワルツもなかったのだ。
あったのは、パヴアーヌ、ガイヤルド、サルタレ口、アルマンド、
クーラント(またはコレンテとも)、サラバンド、ブレー、ジーグ、
ガヴォット、メヌエット、パスピ工、アングレーブ、ルール、
ポロネーズ、フォルラーヌ……、だいたい網羅したかな……。
ずいぶんいろんな舞曲があったんだな、と思うでしょ?
そうなんです。ですがこれらは、∃-ロッパ各地の、いわば民族舞踊
だったわけ。それが宮廷に入っていき、次第に洗練されていったのだ。
前述の舞曲群、起源がイタリア、フランス、イギリス、
ポーランドなどさまざま。「アルマンド」ときた日には、「ドイツ舞曲」
という意味だがフランス起源。ヨーロッパというテリトリー内は、
かなり文化が行き来していたのだ。とすれば、昨今のE∪(欧州連合)の萌芽、
さきがけは、バロック時代の組曲にあった、といっていいのかも。
さて、バロック時代の組曲だが、しばしば「パルティータ」とも呼ばれる。
「スイート」とどうちがうのか。また、ほかに「オルドル」という呼び方
もある。いったいどうなっているのか。
厳密に決まっていた、というものではないようだが、もともと「スィー卜」
とは、アルマンド――クーラソト――サラバンド――ジーグという並びが
基本だったようで、パルティータはやや自由で、ほかの舞曲や舞曲以外の
曲を加えたもの、オルドルはさらに自由で、クープランなどフランスの
作曲家が用いた用語。ということらしい。まあ、詳しくはこの欄の担当の外。
その方の書物にあたってください。
ところでバッハはこのジャンルにたくさんの名曲を遺している。
前回扱った《無伴奏チェロ組曲》をはじめ、クラヴイーアのためにいずれも
6曲ずつの《イギリス組曲》、《フランス組曲》、《パルティータ》、
さらにリュート、無伴奏ヴァイオリン、同じくフルート、
そして4曲の管弦楽組曲。
さあ、そこで今回は《管弦楽組曲》だ。
前にこの欄で《G線上のアリア》を扱った。
あれは正しくは、この《管弦楽組曲第3番》の中の「アリア(エアとも)」
である。したがって2度めの扱いになるか、とも思うが、視点をまるっきり
変えるのでお許しを。
バッハの音符たち ―池辺晋一郎の「新バッハ考」― より
バッハの音符たち―池辺晋一...
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コメント
ご挨拶が遅くなりました(*VV*)
バッハの無伴奏のほんの一部を弾くことになって、いろいろ調べている時におしょさんのとこへたどり着きました。
バッハ・トリビアの宝庫ですね(^-^)
引用&リンク、そしてTBまでさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
投稿 Manbou | 2005.09.03 11:55 午後