「コーヒー・カンタータ」は小オペラだ!(つづき)
ではまず物語を。音楽の構成に沿って。
1)レチタティーヴォ(語り手・テノール) あ静かに、おしゃべりせずに。
娘のリースへンが父親のシュレンドリアンに連れられてやってきますよ。
2)アリア(父・バス) 子供の問題はまったく大変だ。
3)レチタティーヴォ(父と娘・バスとソプラノ) おまえはいったい
いつになったらコーヒーをやめるんだ――日に3度コーヒーを飲まなかったら
私はひからびた羊の焼き肉みたいになっちゃうわ。
4)アリア(娘) ああコーヒーってなんておいしいんでしょう。
5)レチタティーヴォ(父と娘) コーヒーをやめないのなら、結婚も散歩も
流行のスカートを買ってやるのもそのほかみんなダメだぞ――あら、いいわよ。
でもコーヒーだけはやめさせないで。
6)アリア(父) 娘とはなんとも強情なものだわい……。
7)レチタティーヴォ(父と娘) おまえ、コーヒーをやめないと本当に
結婚相手が見つからないぞ――それなら、やめることにするわ。
8)アリア(娘) あ父さん、きょう中にすてきな人を見つけてね。
9)レチタティーヴォ(語り手) さて父は婿探し。一万娘は企んだ。
夫になる人に、私がいつでもコーヒーを飲んでいいという契約書を
書いてもらわなければ結婚しないわ。
10)三重唱(父・娘・語り手) 猫はネズミを見逃さない。母親もおばあさんも
コーヒー好き。娘たちも好き。誰に娘を責められよう。
以上。10曲から成るまさしくこれは、小オペラ。
当時コーヒーは大人気だったという。バッハのいたライプツィヒには8軒の
コーヒーハウスかあって、バッハ自身もアンサンブルを率いて
しばしば出演したそうだから、これはつまりライヴ・ハウスというわけだ。
この曲も、バッハが出演していた「ツィンマーマン」という店での
ライヴを目的にしたものだったろう、といわれている。
さて、かくして僕は「歌詞」というか話の内容を述べたわけだから、
ここでその歌詞と音符の関係、すなわちバッハがいかにコトバと音とを
関わらせたか、について論じるべきなのだうう。
ところが僕は世の中で何が苦手といってドイツ語ほど苦手なものはないのだ。
とうてい無理である。もっとも「独語(ひとりごと)」はよくブツブツ
つぶやいてるけどね。
バッハの音符たち ―池辺晋一郎の「新バッハ考」― より
バッハの音符たち―池辺晋一...
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70903/3291794
この記事へのトラックバック一覧です: 「コーヒー・カンタータ」は小オペラだ!(つづき):

コメント