「コーヒー・カンタータ」は小オペラだ!
この連載は「バッハの音符たち」である。
何を今頃改まって、と思うでしょうが、これはつまり自分で確認しているわけ。
というのも、今回は何と「歌詞」の話から始めよう、ってんだから
やはり一応お断りが必要にちがいない。えーと、その、
たまには音符から離れることもあり、とさせてください。
そういつもいつも音符にばかり頼っていると、
ほら、オンプ二ダッコ、なんて言われちゃうでしょ?
真面目にいこう。
今回は《カンタータ第211番》である。
タイトルは「あ静かに、おしゃべりせずに」ということになっている。
馴染みがない? そうでしょうね。ならば通称を。
《コーヒー・カンタータ》。
どう?
これなら、聴いたこと、あるでしょ?
あまたあるバッハのカンタータのなかで最も有名。
ここで、そもそもカンタータとは何ぞや、ということになりますな。
カンターレ cantare というイタリア語がありまして、これは「歌う」という意味。
カンタータとはその女性形過去分詞なんですと。
「歌われるもの」ということになり、「奏されるもの」すなわち「ソナタ」と
対になっているわけ。
カンタータの日本語訳は「交声曲」ということになっているらしい。
もちろん「交響曲」の対語なのだうう。が、あまり使われていないね。
バッハ作曲「珈琲交声曲」なんて書くとやはり、まず、笑われるに決まってる。
で、カンタータとは?
オーケストラ(むろん大小さまざまだが)伴奏によるアリア、レチタティーヴォ、
重唱、合唱など幾つかの楽章から成り、それらがひとつの物語を形成する。
物語は、宗教的なものであったリ、それ以外の一般的なお話だったリ。
したがって、舞台に装置を組んで演技しつつ歌うわけではないけれど、
一種のオペラなのである。少なくとも作曲家か作曲に費やすエネルギー
としてはほとんどオペラだといっていい。
バッハはこれをなんと200曲以上書いた。
宗教的な「教会カンタータ」が約200曲。それ以外、
つまりたとえば貴族の誕生日祝いとか結婚祝いなどの際に書いたもの、
これを「世俗カンタータ」というが、20数曲。
驚くべき数である。驚くべき創作力そして驚くべきエネルギーだ。
で、その「世俗カンタータ」 のひとつが、これから触れる「珈琲交声曲」
じゃなかった《コーヒー・カンタータ》なのである。
バッハの音符たち ―池辺晋一郎の「新バッハ考」― より
バッハの音符たち―池辺晋一...
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1995年から始まり、現在も進行中のバッハ・コレギウム・ジャパンによるカンタータ全集の第1巻をご紹介します。
ミュールハウゼン時代のカンターである4番「キリストは死の縄目につながれたり」、150番「主よ,われ汝をあおぎ望む」、196番「主はわれらを御心に留めたまえ... [続きを読む]
受信: 2005.04.20 11:36 午後

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